会計参与制度の創設

鈴木信宏行政書士事務所
札幌厚別行政法務センター


1 会計参与とは
 取締役等と共同して計算書類等を作成する会社の機関をいいます。

2 趣旨
1 計算書類の信頼性の向上
 会計参与が取締役・執行役と共同して計算書類を作成することで、取締役・執行役による計算書類の虚偽記載や改ざんを抑制し、計算書類の記載の正確さに対する信頼を高めることにあります。

2 取締役・執行役の労力の軽減
 会計の専門家が計算書類の作成に関与することにより、取締役・執行役の計算書類の作成や株主に対する説明の労力が軽減され、取締役・執行役が経営に専念することができるようになることも期待できます。

3 設置できる会社
1 原則
 その規模や機関設計に関わらず定款で設置する旨を定めることができます(会社法第326条2項)

2 例外
 公開会社でない取締役会設置会社で監査役を置かない場合のみ設置義務があります(会社法第327条2項)

3 登記の必要性
 必要があります。(設置した旨,氏名又は名称を登記します)

4 資格(会社法第333条)
 @ 公認会計士
 A 監査法人
 B 税理士
 C 税理士法人


5 任期
1 原則
 選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結のときまでとなります。
 ただし、定款又は株主総会の決議によってその任期を短縮することができます(会社法第334条、第332条1項)

2 公開会社でない株式会社の特例
 公開会社でない株式会社(委員会設置会社を除く)において、定款によって、会計参与の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結のときまで伸張することができます(会社法第334条、第332条2項)

6 選任・解任
1 選任
 株主総会によって選任されます(会社法第329条1項、第341条)
2 解任
 株主総会の決議により、いつでも解任することができる(会社法第339条)

7 報酬
 会計参与の報酬等は、定款にその額を定めていない場合には、株主総会により定めます(会社法第379条1項)。

8 会計参与の職務権限
 @ 計算書類の取締役等との共同制作(会社法第374条1項、4項)
 A 会計参与報告の作成(会社法第374条1項)
 B 株主総会における計算書類の説明義務(会社法第314条)
 C 計算書類の保存(会社法第378条1項)
 D 計算書類の株主及び債権者への開示(会社法第378条2項)
 E 会計帳簿・資料の閲覧・謄写権(会社法第374条2項)
 F 計算書類を承認する取締役会への出席(会社法第376条1項)
 G 計算書類の作成につき取締役等と意見を異にする場合に置ける株主総会における意見の陳述(会社法第377条)
 H 会計参与の職務を行うため必要がある場合における会社・子会社の業務及び財産の状況の調査権(会社法第374条3項、4項)
 I 株主総会における会計参与の選任等についての意見の陳述(会社法第345条1項)
 J 辞任した会計参与による株主総会における辞任の理由の陳述(会社法第345条2項)

9 会計参与の責任
 取締役と同様の責任を負います。
1 会社に対する責任
 その職務執行において、故意・過失により任務を怠り、会社に損害を与えたときは、会社に対して損害賠償責任を負います

2 第三者に対する責任
 職務を行うにつき悪意又は重過失があったときは、これにより第三者に生じた損害を賠償する責任を負います(会社法第429条1項)

10 会計監査人との相違点
 会計参与 →会社の内部機関として計算書類の作成を実施
 会計監査人→作成された計算書類を外部からチェックを行う



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